VOCALOIDの曲を作っている人と、
VOCALOIDの歌を含め、いろんな曲を歌っている人で対立することがあります。
ちょっと話はズレますが、
初期のVOCALOIDはとても機械っぽい不器用な、
それでいて可愛い声質が多かったのに対し、
今のVOCALOIDの曲はかっこよかったり、可愛かったり、
人間の様な声質の物が増えました。
それゆえ、それを人がカバーしても遜色なく良い作品に仕上がるようになりました。
ここで対立の原因ともなる問題が生じます。
人が歌ったほうが自然かつ上手いし、
VOCALOIDというのは肉声の劣化なのではないか?
というものです。
僕の考えから言わせてもらうと、
そんな事は断じてありません。
初期の頃に人気が出てCD化された物として、
「Re:package」が挙げられます。
これはジャンルで言うとエレクトロ、テクノ系に入ります。
僕は結構エレクトロが好きなのでよく聞くのですが、
エレクトロの中には人間の声を加工してわざと機械っぽくする、
そういったことが結構普通に行われています。
いわゆるケロケロボイスと言われるやつですね。
Auto-TuneとかGsnapとか、そういった声に簡単に出来る物もあります。
つまり、
「人間の声+Auto-Tune=機械っぽい人間の声」
となってるわけです。
ここで初音ミクを思い出してみましょう。
何にも調整していない初音ミクは、
エレクトロで良く使われる機械っぽい声そのものです。
でもそのままだとやっぱり機械すぎるんです。
そこでコンポーザー達が考えました。
逆にAuto-Tuneをかけてやればどうか?
結果は大成功です。
つまり、
「機械の声+Auto-Tune=人間っぽい機械の声」
となったわけです。
もうこれはエレクトロに最適なボーカルです。
生身の人間に出せない声を、VOCALOIDはいとも簡単に出すことが出来るんです。
こうしていろんな曲が出てきた後、
人間っぽい声も頑張れば出せるんじゃないか?
と人間に近いものを作るのも一般化してきました。
まぁそれは新しいエンジンなどが出てきた事なども要因ですが。
そこで歌っている人が出てきます。
人間の声なら人間のほうが簡単に自然に上手く出せると。
もう分かりますよね。
例えるなら写真と絵の様なもんです。
今までは絵で写実的な物を描いていたところに、カメラが登場した。
カメラは絵よりも正確に描写出来る。
でもそのままだと味気ない。
だからセピア、トイカメラ風にしてみたら絵よりも楽に良いものが作れる。
逆にカメラでどんなに頑張って普通の絵画の様にしても、
本物の絵には届かず、不自然さが残ってしまう。
芸術的な絵はカメラには難しい。
そして忘れちゃいけないのが、
写実的な絵や芸術的な写真も他に劣らず素晴らしいということ。
だからどっちが優れてるとかどっちが劣っているとか、
そういう話じゃないんです。
お互いに一長一短があるんです。
もっと理解者が増えればもっと良い物が出来るんじゃないでしょうか。
もっと、もっと良い物を作って下さい。